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統合教育を考える。社会性と自立という側面から日本の障害者教育を考える。

公開日: : コラム

統合教育を考える

介護保険とは直接関係ないのですが、障害児教育について。

ひょんなことから、一年間、教育現場に職員として立ち会うことになり、

貴重な経験をさせていただきました。

そこで大きな疑問と思ったのが、障害児教育についてです。

障害児教育とひとくくりにしてしまうと、
いろんなところから反発を受けそうなのですが、

あくまで一般論として考えてもらえればと思います。

統合教育は完全な教育システムか?

現在。日本は「統合教育」という旗印のもと、

たくさんの障害を持った子供たちが普通学級で学校生活を送り、勉強しています。

これは、世界的な教育の流れから必然的に来ているもの、というよりも、

「流行」というか「ムーブメント」の要素が非常に強いです。

その多くは、というかほとんどは親の強い意向によるものが考えられます。

なかにはデモ行進や訴訟を起こしてまでも普通学級で学ばせたがるその家族。

なぜ、普通学級にこだわる必要があるのでしょう。

ということを、自分の見てきたことと、聞いた範囲で、簡単に。


社会性とは

障害を持つ子供たちの親は口々に「社会性を身につけさせるため」と言います。

果たして、普通学級で社会性が身につくのでしょうか?

どこの学校でもそうでしょうが、障害を持った子供が入学すると、

まわりの児童は必要以上にかまってくれます。

低学年であれば尚更、おままごとのような感覚で接してくれます。

本人は何をするわけでもなく、まわりが世話を焼いてくれる環境を手にすることができます。

しかし、それが社会性の向上に役立つのでしょうか

学校に来てまで、大人に保護されているのと同じ環境に置かれることに、

果たして何のメリットがあるのでしょう。

本人は構われていることに満足し、自分を特別な存在だと意識するようになります。

周囲も当然、障害を持った子供を特別な存在としてとらえるようになり、

同じクラスの一員という関係は成り立たなくなります。

学校生活は保護・被保護の関係だけで成り立っているのではなく、
より多様な人間関係を構築していくためのものです。

普通学級に入れれば「社会性」が身についていくとは一概には言いきれません

理想を言えば、地域コミュニティが確立されていて、

その中で異世代間の交流などができる環境が確保されていれば。と思います

自立を目指して

多くの子供たちは、その障害ゆえに制限される自由があります。

養護学校や障害児学級では小さなステップから「できない」と「できる」を繰り返し、

自分の「できる」を見つけ、達成感を得ていくことができます。

けれど、普通学級では多くの事柄で「できない」を前提にしなければいけません。

子供たちは与えられた「できる」だけをこなして、「できない」は無視します。

そのため、「できない」と「できる」とを学習する機会を得ることができないのです。

結果として、子供たちは

「どんなことができて、どんなことができなくて、どんな援助が必要で、その代わりに何ができるのか」

という経験を重ねていくことができません。

「障害の克服」というと訓練を連想される方もいるかもしれませんが、

いかにその障害と付き合っていくかということを学習することも必要ではないでしょうか。

それが本人の自立につながっていくのではないかと思います。

2003年4月。支援費制度が施行され、

措置から、サービスは利用者の自己決定・契約に基づくものとなりました。

障害者の自立」が基本となっている制度であり、

そのために必要な自己決定能力を育てていくことが大きな目標となります。

また、本人の自己決定を尊重して普通学級を選択したという親もいますが、

問題は本人にそれを自己決定できるだけの判断材料があり、その能力があるかどうかです。

小学校入学前の子供の「自己決定」だけでその将来を決定するというのは

乱暴な言い方になりますが親としての責任放棄ともとられる行為ではないでしょうか。

子供たちはいま

いま、全国でたくさんの子供たちが

教室の片隅で座っているだけで貴重な時間を過ごしています。

授業についていくことができない児童も多いのが現状です。

学習についていけるいけないは大きな問題ではありません。

自分もそう物分りのいい子供ではなかったので。

ただ、その環境がその子供たちの発達にとって望ましい環境なのでしょうか。

肢体不自由があり、姿勢を自己管理することもできず、

一日中車椅子に座りっぱなしでいる児童。

教育に携わる人間であれば心を痛めずにはいられないでしょう。

統合教育の本場アメリカでは

アメリカの統合教育をひとつの理想と考えている部分がありますが、

アメリカにおける教育はIEP(個別教育計画)の設定が義務付けられています

つまり、空間は共有していても、指導は完全な個別教育です。

日本の教育は「個に対応する」教育ではありますが、

個別にカリキュラムを設けるものではなく、根本的に教育システムが異なります。

統合教育があってIEPがあるのではなく、

IEPがあって統合教育があるということを前提に考える必要があるのではないでしょうか。

統合教育という形だけにとらわれず、

安易で短絡的な「みんないっしょ」の危険性を認識する必要があるのではないでしょうか。

批判を覚悟で非常に手厳しいことを書きましたが、

子供たちは、親にとってのかけがえのない宝物であると同時に、

私たちの生きる社会にとってもかけがえのない貴重な財産です。

地域社会の責任として、

専門職の協働によって子供の成長を支援していくことが求められています。

平成15年 掲載

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