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平成24年介護報酬改定は訪問介護にどんな影響を与えるか

介護保険制度は3年ごとに介護報酬の見直しが行われることが決まっております。

平成24年4月は4度目の介護報酬の改定と、5年ごとに行われる介護保険法の改正によるダブル改定が行われます。

増大する社会保障費の抑制や介護職員の処遇改善といった様々な課題を抱えた状態で、どういった報酬単価が示されるのか、 大きな注目を集めていました。

その結果としては、訪問介護事業所にとっては決して喜べる内容ではありませんでした。

介護報酬改定の内訳

まずは、こちらが社会保障審議会の答申による平成24年介護報酬改定の概要になります。

訪問介護の部分だけを抜粋して紹介したいと思います。

身体介護の短時間区分(20分未満)の新設

身体介護の時間区分について、1日複数回の短時間訪問により中重度の在宅利用者の生活を総合的に支援する観点から、 新たに20分未満の時間区分を創設する。

現行 改正後
新規 20分未満 170単位/回
20分以上30分未満 254単位/回 20分以上30分未満 254単位/回

※算定要件(身体介護20分未満)

以下の①又は②の場合に算定する。
①夜間・深夜・早朝(午後6時から午前8時まで)に行われる身体介護であること。
②日中(午前8時から午後6時まで)においては以下のとおり

<利用対象者>
・要介護3から要介護5までの者であり、障がい高齢者の日常生活自立ランクBからCまでの者であること。
・当該利用者に係るサービス担当者会議(サービス提供責任者が出席している者に限る。)が3月に1回以上開催されており、 当該会議において、1週間に5日以上の20分未満の身体介護サービスが必要と認められた者であること。

<体制要件>
・午後10時から午前6時までを除く時間帯を営業日及び営業時間として定めていること。
・常時、利用者等からの連絡に対応できる体制であること。
・次のいずれかに該当すること。
 ア 定期巡回・随時対応サービスの指定を併せて受け、一体的に事業を実施している。
 イ 定期巡回・随時対応サービスの指定を受けていないが、実施の意思があり、実施に関する計画を策定している。

短時間の20分のサービスが新設されましたが、夜間・深夜・早朝以外の時間で算定を行うには、 基準がかなり厳しくなっています。

夜間の訪問サービスを行っている事業所は、夜間はこの20分未満で対応することになるでしょうし、 そうなると大幅な報酬減となります。

日中の20分未満訪問については、算定要件が非常に厳しく、新設の定期巡回・随時対応事業所以外で対応することは難しそうです。

新設サービスである定期巡回・随時対応サービスへの誘導を行いたいという目論見が見え見えですね。

生活援助の時間区分の見直し

それよりももっと衝撃的だったのはこちらです。

生活援助の時間区分について、サービスの提供実態を踏まえるとともに、限られた人材の効果的活用を図り、より多くの利用者に対し、 適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、そのニーズに応じたサービスを効率的提供する観点から見直しを行う。

現行 改正後
30分以上
60分未満
229単位/回 20分以上
45分未満
190単位/回
60分以上 291単位/回 45分以上 235単位/回

これまでの経緯を知らない方は、「なんだ?この45分ってのは?」と驚いたかと思いますが、 詳しくはこちらの記事をご覧ください。
生活援助の基準時間が60分から45分へ?実際のサービスにかかる時間の平均が30分?ヘルパータウンブログ

つまり、生活援助で活動するホームヘルパーの実際の稼働時間は60分未満の利用者の場合でも30分から40分だという調査結果が存在するのです。

そもそもこの調査結果自体の信憑性を問わなければいけないところですが、これがまかり通って、報酬の時間区分まで決められてしまったのです。

この経緯からいうと、厚生労働省のお役人の考えはこうなります。

従来の60分未満のサービスでも、平均から考えれば、実際は平均しても45分で十分足りている。
ほとんどのケースではサービスの内容を変更しないでも45分未満にサービスの提供時間を短縮できる。

・・・ということなんですかね。あきれてものも言えません。

そのまま移行したとして、報酬単価は現行でいう60分未満の場合で29単位のカット、90分未満の場合では45単位のカットになります。

もともと安い生活援助の単価を、さらにここまで切り下げていくのは、 生活援助を介護保険から切り離しにかかっているということなのでしょう。

訪問介護事業所は、業務内容の見直しや効率化、場合によっては給与体系の見直しまで迫られることでしょう。

2級訪問介護員のサービス提供責任者配置減算
 

サービス提供責任者の質の向上を図る観点から、サービス提供責任者の任用要件のうち 「2級課程の研修を修了した者であって、3年以上介護等の業務に従事した者」をサービス提供責任者として 配置している事業所に対する評価を適正化する。

サービス提供責任者配置減算 所定単位数に90/100を乗じた単位数で算定

これに肝を冷やしている事業所も多いのではないでしょうか。

簡単に説明すると、いわゆるホームヘルパー2級でも3年以上介護業務に従事している者であれば、 今まではサービス提供責任者として業務ができたのですが、 今後は、介護福祉士やホームヘルパー1級などの資格保有者でないと、 報酬が減算によって90%にカットされるということです。

報酬単価の切り下げに加えて、10%の報酬カットとなれば事業所の存続にかかわる大打撃です。

今回、介護福祉士の試験を受けているサービス提供責任者は相当プレッシャーだったのではないでしょうか。

今後は介護福祉士の要件も厳しくなり、時間的・経済的な制約で受験をできなくなる人も多くなるでしょうから、 どれだけスキルや調整力をもっていたとしてもサービス提供責任者になれずに、 モチベーションを保てなくなる方も出るのではないでしょうか。

その他の加算・減算

いくつか加算・減算も変わっていますので、ここではごく簡単に紹介します。

介護予防訪問介護

介護予防訪問介護については、サービスの提供実態を踏まえるとともに、適切なアセスメントと ケアマネジメントに基づき、利用者の自立を促すサービスを重点的かつ効果的に提供する観点から見直しを行う。

サービス 現行 改定後
介護予防訪問介護費(Ⅰ)
週1回程度の訪問
1234単位/月 1220単位/月
介護予防訪問介護費(Ⅱ)
週2回程度の訪問
2468単位/月 2440単位/月
介護予防訪問介護費(Ⅲ)
週3回以上の訪問
4010単位/月 3870単位/月

介護予防サービス(要支援認定者対象)も減額となっています。

介護予防では、時間区分という考え方はもともとなく、 基準時間に合わせて60分を目安にサービス提供を行っている事業者がほとんどだと思います。

今回の報酬改定を機に、予防の時間区分も45分にそろえるのか、 現行のサービスを維持するのかは、事業所の判断によりますので、 事業所ごとにサービスの差が大きくなることは予想されます。

平成24年改定後の訪問介護事業所とホームヘルパーは

こう見ると、訪問介護についてはまったくプラス改定になったという印象はなく、 むしろ、効率化という名目で、切り下げるところは大胆に切り下げているという印象です。

もちろん、処遇改善費が加算として報酬に加えられたことや、 地域区分の見直しで報酬が底上げされる事業所もあると思います。

訪問介護事業所も生き残りのために、 経営的な視点から効率化をはかり、算定できる加算をとることがさらに重要になります。

そして、今回の生活援助の時間区分変更の発端となったサービス提供時間の調査のような言いがかりに対しても、 専門職として反論できるだけの社会的評価が得られるようになることを期待します。

平成24年4月に改定される介護報酬の一覧はこちら「平成24年度版介護報酬単価ガイド

平成24年1月31日掲載

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