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訪問介護が変わる?介護保険改正の切り札、混合介護とは?

公開日: : コラム

平成30年の介護保険制度改正・報酬改定に向けての議論が本格化する中で、
議論の一つ「混合介護」に注目が集まっています。
訪問介護を大きく変えるかもしれない混合介護について、そのメリットや課題も含めて確認していきましょう。

訪問介護イメージ

混合介護とは

混合介護とは、従来の介護保険制度内で行われるサービス(介護保険適用)と、
介護保険外の自費サービス(保険適用外)を
一体的に組み合わせて提供するというものです。
この「一体的」ということが一つのポイントになっています。

これまでも存在していた介護保険外サービス

ただ、訪問介護事業所を例にとってみても、
介護保険外のサービスを別料金を設定して提供している事業者が大多数となっています。
保険給付として認められないサービスとして需要が多いのが以下の3つのパターン。

  1. 日常的な家事にあたらない大掃除や草むしり、病院の通院付き添い(医療機関側とCMとで確認された常時対応が必要な場合を除く)など、介護保険制度でそもそも認められていないサービス
  2. 同居家族のための調理や洗濯、主に家族の利用しているスペースでの掃除などの家族へのサービス
  3. 介護保険の要介護度ごとに定められた利用限度額を超過して利用する必要があるサービス

これらのサービスを介護保険の介護報酬で設定された料金以外の別料金を設定し、
利用者との直接契約で提供しているのがいわゆる保険外の自費サービスです。
保険外のサービスを保険適用のサービスと組み合わせることでニーズを充足させることは必要に応じて訪問介護事業所でも提供してきました。
では、これまでの保険外サービスとはどう違うのでしょうか。

草むしりを行う自費サービス

混合介護により「同時・一体的な提供」が可能に

ただ、保険適用と保険外とは明確に区分をしなければいけないというルールがあり、
ルール上はサービスの提供時間を線引きして提供することになっています。
この線引きをより緩やかなものにし、同時・一体的な提供ができるようにするというのが混合介護です。

混合介護のイメージ図

一体的なサービス提供が行えるようになることで、
家族の負担の軽減やサービスの効率化によるヘルパーの業務時間の短縮化が図れるという説明です。

ただ、ルール上は明確に線引きをするようにとなっていたとしても、
家族分の買物をするのに同じ商品をもう一度同じスーパーに買いに行くとか、
洗濯機を回すのに家族の分で分けてもう一回回すとか、
同じ料理をもう一回同じ材料で家族分だけ作るとか、
そこまではっきりとした線引きでの対応を訪問介護事業所はしてきたでしょうか。
保険者の指導などにもよるのでしょうが、ある程度の柔軟な対応は認められてきた部分はあると思います。

洗濯に追われる男性ヘルパー

同時・一体的な提供に課題は?

この同時・一体的な提供が行われるようになると、ますます介護保険サービスとしての位置づけがますます不明確になっていくことでしょう。
サービスの必要性についてマネジメントすることも困難になり、
次第に家族分や保険適応外のサービス提供が中心のサービス利用になる可能性もあります。
また、悪質なサービス事業者が横行することも予想されます。
不透明で高額な料金設定をする事業者、
保険適用サービスを提供していないのに保険分として乗せて請求する事業者など、
これらをチェックしていくのは非常に困難であるといえます。

混合介護の解禁が悪質な事業者の助長につながっていくことは危惧されます。

ヘルパーは指名制に?

保険外サービスとの一体的提供ともうひとつ、混合介護がスタートすることで訪問介護事業所の場合には大きな変化が待っています。
利用者が別料金を支払うことでヘルパーを指名できるといういわゆる指名料の設定です。
これは保険内サービスでは認められなかった指名料を支払うことでのヘルパーの指名が、
混合介護の解禁によりできるようになります。

ヘルパー指名制によるメリット・デメリット

このヘルパー指名制によるメリットとデメリットについて考えてみましょう。

まずメリットとして挙げられるのがヘルパー事業所の収益ヘルパー個人の賃金の上昇です。
混合介護のモデル事業をスタートさせる東京都豊島区ではヘルパーの指名料を一回500円程度と想定しています。
指名料に関しては、指名されたヘルパーにもその分の何割かが給与に上乗せされるとみられることから、
事業所だけでなく、ヘルパーの賃金が上昇し、結果的に待遇改善につながっていきます。
ヘルパー自身のモチベーションにつながることも期待されます。

利用者にとっても、ヘルパーを指名することで自分が希望するヘルパーによる支援を受けることが出来るということで
利便性が増すということは考えられます。
指名料を払ったとしても、能力や経験などの高いヘルパーによる支援を希望する利用者も少なくないと思われます。

500円イメージ

ただ、デメリットもあります。
まず、指名料を支払うことが出来るのは経済的に余裕がある利用者だけになっていくと想定されます。
指名料が500円だとしても、生活援助のサービスを一回受ける金額よりも、指名料の方が高くなる計算になります。
指名料を支払うことが出来る経済的に余裕のある利用者には優秀なヘルパーが集まり、
指名料を払うことが出来ない経済的に余裕のない利用者にはそうでないヘルパーが訪問する。
低所得者層が本当に必要としているサービスを受けることが出来なくなるというおそれもでてきます。
同じ保険適用サービスでありながら所得格差により不平等が生まれることは制度の在り方として間違っているという声も根強いです。

また、ヘルパーと利用者との関係が指名料を受けるという目的で変わってくる可能性もあります。
利用者とヘルパーという関係をこえて、必要以上に懇意になることを助長しているようにも思えます。
指名を受けていたとしても提供するサービスは保険適用サービスのみの場合もあるわけです。
にもかかわらず、指名を受けるために過剰なサービスを行うヘルパーがでてくる可能性は大いにあります。

そもそも、混合介護の指名制については東京都が提出した国家戦略会議資料の中にも、

重度化の予防に役立つ資格や技術を持っていたり、高いコミュニケーションスキルを備えていたりするヘルパーを、500円から3000円の上乗せで指名できるようにする。

とされています。

ここにある
重度化の予防に役立つ資格や技術というものが、あんまマッサージ師や看護師の資格を持っているヘルパーを想定しているようでしたが、
だったらそもそも訪問マッサージや訪問看護を保険適用で利用しない理由がそもそも不明確です。

これまでもヘルパーとのトラブルをきっかけにヘルパー個人を指名することや「出入り禁止」にする利用者はいましたが、
こういったケースとの線引きをどうとらえていくのか。

混合介護の導入はいつから?

早ければ平成30年の介護保険改正に合わせて導入することが出来るようにと議論が行われていますが、
前述したように様々な課題があり、平成30年改正には慎重な意見も多くある状況です。
ただ、東京都豊島区でのモデル事業は来年度からスタートすることが既に決まっています。
モデル事業の実施状況を見て判断するという可能性が高いのではないでしょうか。

果たして訪問介護への混合介護導入がどのような影響をもたらすのか。
需要やサービス内容が多様化する中でも、
事業所・ヘルパーは一層コンプライアンスを意識しながら、適切なサービス提供を心掛けていくことが求められます。

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