インドネシアからの外国人介護労働者受け入れへ

介護の現場に外国人労働者がやってくる。

そんな話を聞いたことがある方も多いと思いますが、 日本は現在、アジア諸国との経済連携協定(EPA)の締結を進めており、 その第一弾として、インドネシアからの看護・介護労働者の受け入れが7月から行われることになりました。

いよいよ、介護の現場での外国人労働者受け入れがスタートします。

EPA:インドネシア人看護師・介護士、国会で受け入れ承認(毎日新聞)

インドネシア人介護福祉士の受け入れはこうなる

当初、フィリピンとの間での交渉が進められていましたが、 受け入れ要件などの条件面にフィリピン側の反発が強く、現在、フィリピン上院での審議が遅れているとのことです。

インドネシアから派遣されるのは、看護師400名、介護福祉士600名になる見込みです。

今年は7~8月に看護師200人・介護福祉士300人が来日することが正式に決定しました。

介護福祉士は、入国後、六ヶ月間の日本語研修・介護導入研修を受けたあと、介護の現場で勤務します。

介護施設が受け入れ先となり、そこで経験を積んだ後、介護福祉士国家試験を受験します(もちろん日本語で)。

4年以内に介護福祉士の国家資格を取得できれば継続して就労し、取得できなければ、帰国となります。

※当面は、「准介護福祉士」として、継続して修了できる暫定措置が適用されるようです。

受け入れ先1施設に2人以上5人以下のインドネシア人が派遣されます。

給与は、17万5千円以上が支払われることになっています。

それでは、実際にどんな人が来るかというと、日本側が提示している介護労働者の条件は以下になります。

  1. インドネシアの大学又は高等教育機関の修了証書Ⅲ(高等学校卒業後3年間の教育課程を修了した者)以上の取得者で、6ケ月程度の介護の研修を修了し介護士としてインドネシア政府から認定された者(注)
    又は、
  2. インドネシアの看護学校の修了証書Ⅲ取得者又は大学の看護学部卒業者

(注)インドネシアにおける介護の研修については、介護に必要な技能を有する介護士として必要な技能を取得するためのカリキュラムを、インドネシア政府が日本政府と協議しながら検討することとなっている。

引用:経済連携協定に係る外国人介護福祉士の受入れについて(WAMNET)

つまり、まだインドネシアには介護に関する専門的なカリキュラムが整備されていないということです。

そのカリキュラムが整っていないので、今年、介護福祉士として来日する人はインドネシアで看護を学んだ人ということになります。

派遣される際の資格要件、国家試験の受験が必要なことなどを考えると、そのハードルはかなり高いものだと考えていいようです。

受け入れ先に求められるもの

派遣されるインドネシア人に高いハードルが課せられているのと同時に、受け入れ先にも厳しい条件が課せられます。

受け入れ施設が満たすべき条件は以下のとおりになります。

就労する施設は、定員30名以上の特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等の介護施設であって、以下の要件を満たすものであることとしている。

  1. 介護福祉士養成施設における実習施設に準ずる体制が整備されていること。
  2. 介護職員の員数(就労する介護福祉士候補者を除く)が配置基準を満たすこと。 すなわち、フィリピン人介護福祉士候補者は、介護保険法等に基づく配置基準には算定されず、 介護報酬の請求においても人員要件には含まれない。
  3. 常勤の介護職員の4割以上が介護福祉士の資格を有すること。
  4. 過去3年間に、フィリピン人介護福祉士候補者等の受入れに関して、虚偽の求人申請、二重契約その他の不正の行為をしたことがない医療法人、社会福祉法人等の受入れ機関が設立していること。

各介護施設において実施する研修の要件は、以下のとおりである。

  1. 介護福祉士国家試験の受験に配慮した介護研修計画が作成されていること。
  2. 研修責任者及び研修支援者の配置等必要な体制が整備されていること。
  3. 日本語の継続的な学習、日本の生活習慣習得等の機会を設けること。

引用:経済連携協定に係る外国人介護福祉士の受入れについて(WAMNET)

さらに、受け入れ先施設は、渡航費用や研修費など、合わせて60万円近くを負担しなければいけません。

しかも、インドネシア人は施設の人員要件には含まれません。

危機的な人材不足から、今回の医療介護分野での人材の受け入れが決定したにもかかわらず、 本当に人手が不足している配置基準ギリギリの施設では、受け入れることが難しいのです。

さらに、費用負担や研修計画などを考えると、施設側のメリットが大きいものとはいい難いのではないでしょうか。

これでは、介護分野の人材不足を補うことが目的ではなく、アジア諸国との関係強化という側面しか見えてきません。

いったい、誰のための介護労働者受け入れなのでしょう。

インドネシア人介護福祉士候補者の受け入れ説明会は5月22日・23日に行われますが、受け入れに名乗りを上げる施設はどれほどあるのでしょう。

受け入れ先となった施設で働く方々は、大変だと思いますが、文化も慣習もまったく違った職員を研修することは間違いなく貴重な経験になることだと思います。

インドネシアの簡単な情報を掲載しておきますので、参考にしてみてください。

人口 およそ2億四千万人(世界で第4位)
公用語 インドネシア語
来日する人たちは英語もできるとは思いますが。
宗教 イスラム教が75%
他、キリスト教、ヒンドゥー教など。
民族 300を超える多民族国家
(大半はマレー人)
教育 日本と同じ6・3・3制
有名人 もちろん、デヴィ・スカルノ(デヴィ夫人)
※故スカルノ大統領の第三夫人

平成20年5月19日 掲載

追記

受け入れ先として、多くの法人が立候補したものの、 日本で看護師・介護士として働くことを希望するインドネシア人が集まらず、 結局、予定していた500人の半数にも満たない208人の来日が決定しました。

日本の介護を支える労働力として、本当に外国人労働者に期待していいのか、しっかり見極めていくことも必要です。

平成20年8月3日 追記

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