三年後との改定が行われる介護報酬。
平成21年4月に、3度目の介護報酬改定が行われます。
それまでの2回の介護報酬改定では、いずれも介護報酬は削減されてきましたが、 今回は介護保険開始以降、初のプラス改定となりました。
これは、危機的な介護人材不足を反映したものとなっていますが、 この改定で介護労働者の待遇がどう変わるのか、サービス利用者の生活はどう変わるのか。
訪問介護サービスを中心に簡単にまとめてみました。
平成20年12月26日、厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会において、平成21年度の介護報酬改定の概要が発表されました。
詳しくは、こちらの資料(PDF)をご確認いただければと思いますが、 訪問介護を中心に、改定ポイントを確認していきたいと思います。
まず、訪問介護サービスは短時間のサービスに対しての評価が行われ、 30分未満の身体介護(巡回型)が231単位から254単位にアップ、 生活援助でも30分以上1時間未満では208単位から229単位にアップしています。
以前の介護報酬改定でも短時間のサービスに重点的に報酬アップが行われ、 今回はさらにそれを色濃くしたという印象があります。
しかし、現在の訪問介護サービスの利用のうち、30分未満の身体介護の利用者は全体の10%程度と考えられます(平成16年時点で7.7%)。
同じく、30分以上1時間未満の生活援助も割合としては大きくはありません。
現状、訪問介護サービスの利用は長時間滞在型が主流になっています。
長時間滞在のサービスにすることによって、 多少時間当たりの単価が低めの設定となっても、報酬が発生しない移動時間のロスをなくし、 ヘルパーの労働時間を確保するというのがサービス提供事業所のねらいでもありました。
これを短時間の訪問を中心にシフトするとなるとどうなるでしょう。
まず、移動時間のロスを少なくしなければいけないため、利用者がある程度集中していることが求められます。
山間部などは地域加算がプラスになりましたが、それでも過疎地域での訪問介護で利益を出すことは難しいでしょう。
介護報酬改定を利用して利益を上げていくためには、ある程度の事業所の規模(利用者数)が必要になります。
そして、短時間のサービスを移動時間のロスを避けるように組み合わせることで、利益を上げることができます。
この介護報酬改定での大きな変化としては、サービス提供責任者の業務に対する介護報酬が加えられたことがあげられます。
以下の2点が追加されました。
新規に訪問介護計画を作成した利用者に対して、初回に実施した訪問介護と同月内に、 サービス提供責任者が、自ら訪問介護を行う場合又は他の訪問介護員等が訪問介護を行う 際に同行訪問した場合
利用者やその家族等からの要請を受けて、サービス提供責任者がケアマネジャーと連携 を図り、ケアマネジャーが必要と認めたときに、サービス提供責任者又はその他の訪問介 護員等が居宅サービス計画にない訪問介護(身体介護)を行った場合
ケアマネがケアプランを作成することに介護報酬があるのに、 サービス提供責任者が行うサービス計画に介護報酬がないのはおかしい、という不満が多かったことから、 新たに初回加算が設定されたのではないでしょうか。
新規利用者が多ければ、それだけ加算を多く獲得できるということで、 これも事業所のスケールメリットが大きく影響しそうです。
ヘルパーの数が少なく、新規を受けることのできない事業所や、 緊急時に対応ができる余裕のない事業所はこういった加算を得ることは難しいかもしれません。
訪問介護に関して大きな改定ポイントをまとめてみました。
これ以外にも地域ごとの加算の見直しや、特定事業所加算の算定基準の見直しも行われます。
さて、それでは、この介護報酬改定で勝ち組となる訪問介護事業所はどんな事業所か。
それは、ある程度の規模のある事業所で適正な活動エリア(サービス提供範囲)でサービスを行っている事業所です。
大手の在宅介護会社は介護報酬の恩恵を受けやすいといえるのではないでしょうか。
たとえば、コムスンの事業所を吸収した各会社は、大きな赤字を出したものの、 職員・利用者の数を確保できたことで、この介護報酬改定によるメリットを生かしやすい状況にあるのではないでしょうか。
逆に、小規模な訪問介護事業所では、今回の介護報酬改訂の恩恵をまったく受けることができないところも多いのではないでしょうか。
極端に言えば、介護事業所の統廃合・吸収合併による効率化を促進させ、 事業所の濫立を抑制し、サービスの質向上につなげるというねらいもあるのではないでしょうか。
当初は、介護報酬の改定で、介護職員の給与を2万円アップさせるとぶちあげていたものの、 実際はそれには程遠いという印象を感じています。
プラス改定となったこの介護報酬改定をいかしてどう職員の待遇改善につなげるかは全て事業者の努力にかかってしまったといってもいいかもしれません。
平成20年12月27日掲載