*

介護予防・日常生活総合支援事業でどうなる予防訪問介護。

公開日: : 最終更新日:2014/10/15 コラム

介護予防・日常生活総合支援事業ガイドライン案について

7月の厚生労働省全国介護保険担当課長会議で、介護予防・日常生活総合支援事業についてのガイドライン案(pdfファイル)が発表されました。
介護予防・日常生活総合支援事業については、
以前にもこのブログでお伝えしていますが、これまで行われてきた要支援者を対象とした介護保険サービスを、
市町村事業に移行して行われるというもの
です。

既存の介護事業所による既存のサービスに加えて、NPO、民間企業、ボランティアなど地域の多様な主体を活用して高齢者を支援するというものですが、
その全体像はこのようなイメージになります。

介護予防・日常生活総合支援事業全体像

では、具体的に訪問介護に関して、どうなるかみていきましょう。

予防訪問介護と新しい4つの類型

これまで提供されてきた予防訪問介護サービスは、これまでの予防訪問介護相当のサービスと、それ以外の新しい4つの類型に分けられることになりそうです。

訪問介護の類型

基準 現行の訪問介護相当 多様なサービス
サービス種別 ①訪問介護 ②訪問型サービスA (緩和した基準によるサービス) ③訪問型サービスB (住民主体による支援) ④訪問型サービスC (短期集中予防サービス) ⑤訪問型サービスD (移動支援)
サービス内容 訪問介護員による身体介護、生活援助 生活援助等 住民主体の自主活動として行う生活援助等 保健師等による居宅での相談指導等 移送前後の生活支援
対象者とサービス提供の考え方 ○既にサービスを利用しているケースで、サービスの利用の継続が必要なケース ○以下のような訪問介護員によるサービスが必要なケース
(例) ・認知機能の低下により日常生活に支障がある症状・行動を伴う者
・退院直後で状態が変化しやすく、専門的サービスが特に必要な者 等
※状態等を踏まえながら、多様なサービスの利用を促進していくことが重要。
○状態等を踏まえながら、住民主体による支援等「多様なサービス」の利用を促進 ・体力の改善に向けた支援が必要なケース ・ADL・IADLの改善に向けた支援が必要なケース ※3~6ケ月の短期間で行う 訪問型サービスB に準じる
実施方法 事業者指定 事業者指定/委託 補助(助成) 直接実施/委託
基準 予防給付の基準を基本 人員等を緩和した基準 個人情報の保護等の最低限の基準 内容に応じた独自の基準
サービス提供者(例) 訪問介護員(訪問介護事業者) 主に雇用労働者 ボランティア主体 保健・医療の専門職 (市町村)

ということで、具体的なイメージとしては、
1.現行の予防訪問介護
2.サービス事業者が提供する家事支援(訪問型A)
3.住民による自主的な生活援助(訪問型B)
4.保健師等による指導(訪問型C)
5.住民による自主的な移送サービス(訪問型D)
となります。

身体介護が必要な場合や認知症等により日常的生活に仕様がある場合などに関しては、現行の予防訪問介護として継続ができるものの、
それ以外のサービスに関しては新しい4つの類型の中でサービスが提供されます。
生活援助で提供されていたサービスは、訪問型A(介護保険事業者提供)か訪問型B(住民自主活動)に該当しますが、
事業所が訪問型Bとして指定を受けて、サービスを提供するとなると、
受け取ることのできる介護報酬がこれまでよりも減ることが予想されます。
確かに要介護者の訪問介護に比べて、予防訪問介護はサービスの内容によって単価に違いがないため、
不公平感を感じていた事業者やホームヘルパーの方も多かったのではないでしょうか。
ただ、この報酬(単価)については市町村が地域の実情を踏まえて設定するため、どのような報酬になるのかは不明です。
間違いなく言えることは予防訪問介護で受け取ってきた報酬よりも少なくなるということでしょう。

ちなみに、介護保険最新情報Vol.396で厚生労働省からQ&Aが発出され、

地域の実情に応じて異なる類型を定めることを妨げるものではない。

と記載されていることから、必ずしもこの類型だけに限らず、市町村で独自に新たな類型を設定することも考えられます。

移行スケジュール

移行スケジュール

移行スケジュールは上記の図ようになっています。

平成27年4月に法改正され、移行経過措置期間に入ります。
市町村の条例により、移行期間は平成29年の4月まで猶予が可能となっています。
要支援の認定が最長12ヵ月間のため、最終的に平成30年の4月までに、すべてのサービスが新しい体系のもとに行われていることになります。

それまでに解決しなければいけない課題はまだまだ山積です。
・住民活動による自主的なサービス(訪問型B)といっても、その受け皿の準備が進んでいません。
 自治会や老人会などの住民活動でサービスを提供できるのか(ただでさえ自治会の加入率の低下・会員の高齢化が進んでいる)
・多くの市町村ではまだ方針が決定しておらず、以降猶予期間をどこまで設けるのか・訪問型Aの報酬はどうなるのか、などが不明なので、事業所側も対応ができない
・これまで予防訪問介護のサービスを利用してきた利用者への説明等をどのようにしていくのか

など、さまざまな課題を限られた時間の中で解決していかなければいけません。
先日発出されたQ&Aでは100項目にわたる質問と回答が掲載されていますが、
市町村向けのものであって、事業者側は結局は市町村の方針待ちという状況になっています。

ホームヘルパーとして、専門職としての誇りを持って提供してきたサービスが、
多様なサービス提供者としボランティアなどの住民(もちろん高齢者も含む)による活動に移行することもあり、
憤りを感じている方も多いかと思います。

ただ、訪問介護はより高度に質を求められるサービスであるべきという意味も含まれているため、
より専門職としての自覚を持つことが必要でしょう。

アドセンス336

関連記事

介護保険抜本的見直しの焦点、介護予防について

「介護予防」を探る 介護保険制度の抜本的見直しを前に、さまざまな問題が浮上していま

記事を読む

no image

介護の資格ガイド(平成24年度まで)

介護の資格ガイド(平成24年度まで) 介護の仕事につきたい。 けれど、どんな仕事があるのかわ

記事を読む

高齢者イメージ

「痴呆」に替わる用語、「認知症」

「痴呆」に替わる用語、「認知症」 「痴呆」という言葉がなくなる。 厚生労働省が発表し

記事を読む

報酬改定による在宅介護への影響は

介護報酬の単価改正を読む(平成15年度版)。複合介護の廃止と家事援助の報酬引き上げ。

介護報酬の単価改正を読む(平成15年度版) 厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会は

記事を読む

介護イメージ

平成21年介護保険改定のねらいとポイント

介護保険第4シーズン突入。プラス改定の意図は? 三年後との改定が行われる介護報酬。

記事を読む

ホームヘルパーとは何か

ホームヘルパーとは何か? ホームヘルパーとは、 肉体的・精神的に日常生活を送るの

記事を読む

ヘルパー2級と初任者研修の比較

どっちがお得?ホームヘルパー2級養成講座と介護職員初任者研修。

ホームヘルパー2級養成講座と介護職員初任者研修の比較。 すでにお伝えしている通り、これ

記事を読む

来日したインドネシア人

インドネシアからの外国人介護労働者受け入れへ

インドネシアからの外国人介護労働者受け入れへ 介護の現場に外国人労働者がやってくる。

記事を読む

介護報酬改定。訪問介護の報酬単価はどうなった?

平成27年介護報酬改定。未曾有のマイナス改定は訪問介護に影響するか?

介護保険のサービス提供に伴って発生する介護報酬は3年に一度見直しがされることになっており、

記事を読む

支援費制度とサービスについて

支援費制度と人権問題。措置から契約への転換と生きる権利。

支援費制度と人権問題 障害者問題は、人権問題であるといっても過言ではありません。 人

記事を読む

アドセンス336

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

アドセンス336

混合介護のイメージ図
訪問介護が変わる?介護保険改正の切り札、混合介護とは?

平成30年の介護保険制度改正・報酬改定に向けての議論が本格化する中で、

介護保険負担割合証
訪問介護の自己負担が2割になる人、ならない人。

平成27年4月に行われた介護保険法の改正。 すでに新しい報酬単価が適

介護報酬単価(平成27年度)
介護報酬単価ガイド(平成27年改定版)

介護報酬ってなに? 介護報酬ってどんな仕組み? 身体介護1

介護報酬改定。訪問介護の報酬単価はどうなった?
平成27年介護報酬改定。未曾有のマイナス改定は訪問介護に影響するか?

介護保険のサービス提供に伴って発生する介護報酬は3年に一度見直

介護予防・日常生活総合支援事業全体像
介護予防・日常生活総合支援事業でどうなる予防訪問介護。

介護予防・日常生活総合支援事業ガイドライン案について 7月の厚生労働

→もっと見る

PAGE TOP ↑